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ToshIの「洗脳」を読み、マインドコントロール問題の根深さと対応について考えてみた。

  • 投稿者: hayato
  • 2014年10月2日 1:33 AM
  • 未分類

X japan ToshIの著書「洗脳 地獄の12年からの生還」を読んだ。自分的にかなりの衝撃作。
この機会に、普段から関心の強いマインドコントロール問題の根深さと対応について考えてみた。


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【目次】
(1)信頼した人々に裏切られ、搾取と暴力を受け続けたToshIの12年。
(2)どうしたらToshIのような被害を減らせるのか。
 ー【対応1】自分自身が巻き込まれないための予防。
 ー【対応2】身の回りの人が巻き込まれた時のケア。
 ー【対応3】首謀者を減らす。
(3)最後に。
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(1)信頼した人々に裏切られ、搾取と暴力を受け続けたToshIの12年。

X活動中の悩んだ時期に出会った自己啓発団体「ホームオブハート」との出会い。そこから12年に及ぶ搾取(Xヴォーカルやドサ回りの仕事で得た10億以上の売上のすべてを強制的にとられる)や、暴力(戸籍上は妻だが代表の側近である女性からの殴る蹴る、罵倒)の毎日。

その状態に悩みながらも、「自分は汚いエゴのかたまりで、浅い考えしかない。MASAYA(ホームオブハート代表)の言うことにこそ本質があるんだ」と自分に言い聞かせ、マスコミに叩かれても「ホームオブハートやMASAYAは何も悪くないんだ」と言わされ続けた12年。

ToshIを睨む妻/涙を流す妻/うつむくToshI

ToshI、MASAYA氏、ToshIの妻(MASAYAの側近)が、ワイドショーでインタビューを受けているこちらの動画。この時、ToshIはホームオブハートの活動に対して疑念を持ってはいたが、MASAYA・妻の両氏から「余計なことはしゃべるなよ」とプレッシャーを受け、操り人形になっていた。

2:58からの3秒間、妻からToshIへの非常に鋭い目つきが怖い。ToshIも表情が固い。また、この動画だけを見ると、MASAYAは純粋な良い人で、粗探しをしようとするレポーターが悪い人という見方もできる。3:15くらいからカメラを向けられた妻の表情も明るく、純粋で良い心を持った美人にも見える。2:58との表情の違いは非常に大きい。

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(2)どうしたらToshIのような被害を減らせるのか。

ToshIはロックの大スターだが、「洗脳」に書かれているストーリーは非常にリアルで、対岸の火事ではなく、いつ自分の身のまわりで起きてもおかしくない話と思う。 というか、これに近いマインドコントロールはけっこう起きているので、良く悩む。

ToshIのように真面目な人が、仕事や人間関係のトラブルで自分や他人を信じられない時、優しくしてくれる美人(後の妻だが実は団体幹部)に出逢い「ありのままのあなたで良いんだよ」と微笑みながら受け容れられたら、ついつい惹かれてしまうのは仕方ないこと。

これからの低成長時代、let it goが繰り返し流され、物質的なものでない価値を求める人が増えるであろう日本では、ますますこういった事件は増えるだろう。

自分のかかわるチャイルドラインや、大事な人を亡くした方の気持ちによりそう活動でも、今の自分に自信が持てない人、不安な人に「そのままの自分で良いんだ」と感じてもらえるような働きかけをするが、そこで終わらせれば良いものを、生まれた信頼関係を利用して相手を都合良く操作する輩には強い嫌悪感や怒りを覚える。

どうしたらこのような被害は減らせるのか。

【対応1】自分自身が巻き込まれないための予防。
【対応2】身の回りの人が巻き込まれた時のケア。
【対応3】首謀者を減らす。

の3つの段階で考えてみたいと思う。

ー【対応1】自分自身が巻き込まれないための予防。

自分が巻き込まれないためには、マインドコントロールの仕組みそのものや自分の心のクセを知っておくということが大事だとよく言われる。

naverまとめ:他人ごとではない【洗脳】されやすい人の特徴、されない方法

自分の性格を変えるのはなかなか難しいが、知っておくだけで「あれ、もしかしたらこれって・・・」という予防線を張ることはできる。

とはいえ「こんなに自分に親切にしてくれる人を疑うなんて良くない。まずは信じることから始めよう」という風に考えてしまう人も多いだろう。特に自分に自信がない時には。

人を信じることは良いことだ。だが、問題なのは、「もう信じられる人は、この人やこの団体しかいない」という依存関係になってしまうこと。だからこそ、普段から身の回りに本音で話し合える仲間を創っておくことが何よりの予防策になると思う。

家と職場(学校)との往復の生活で、職場での人間関係が悪くなると、「唯一、本音で話せる人」としてふっと現れた詐欺師に捕まる可能性が高くなる。

仕事等で悩んだ時にはつい自己啓発セミナーに行きたくなるかもしれないが、趣味の時間を増やすなどして、対等に話せる友人がいる環境を保つことが重要ではないか。(しかし、詐欺師は趣味仲間として懐に入ってくることもあるので要注意)

ー【対応2】身の回りの人が巻き込まれた時のケア。

周囲の友人で、自分から見て「マインドコントロールされているのでは?」と感じる人が何人かいる。普段、あまり考えないが、今回、ToshIの本を読んで、改めてどのように接するのが良いか考えてみた。

ToshIのエピソードからは、被害者がマインドコントロールから目覚めて社会復帰するのに必須なものとして、

・本人の中で加害者に対して疑問が芽生えていること
・身の周りの人の継続的かつ深い愛情
・復帰後に活動できる環境(収入源や住むところ等)

の3つがあると思った。

1つ目の「本人の中で加害者に対して疑問が芽生えていること」が最も重要で、本人が加害者に心酔しているタイミングでは、周りが何をしてもほとんど効果はない。DV彼氏にぞっこんの女性に周りが「そんな男と別れなよ」と言っても、なかなか聞かないように。どっぷりはまる前に初期対応をするのも大事だが、いきなり相手を否定しても良くないし、団体の方では外部からの説得者がどのように洗脳を解いてくるかを分かった上で洗脳をしているので、説得するには、接触回数を増やしてタイミングを図ることが求められる。

だからこそ、2つ目の「身の周りの人の継続的かつ深い愛情」が必要だ。継続的に、「私はあなたの味方だ」という姿勢を伝え、相手が心を開いたタイミングで、しっかり受け容れてあげる。頭ごなしに否定してはいけない。要は、「あの団体よりもあなたの方が信用できる」という関係になれば良い。

だが、3つ目の「復帰後に生活できる環境(収入源や住むところ等)」の問題もある。洗脳された人は、考え方を変えられるだけでなく、団体の経済活動に巻き込まれ、その団体を離れた時に生活ができない環境に次第に追い込まれていることも多い。家族ならまだしも、友人としてそこまでの手当をするというのはなかなか難しいだろうが、少なくとも本人と一緒に真剣に考えることや、一時的な寝床を提供するということくらいはできるだろう。何もしないよりは良い。

・・・とまぁ、断定的に書いてしまいましたが、自分がこのようにして誰かを洗脳から解いたことがあるわけではなく、むしろ困っているので、どのようなことが大事なのか色々な人から意見も聴いてみたいです。

ー【対応3】首謀者を減らす。

被害者へのケアもとても重要だが、根本的にはマインドコントロールする側の首謀者が変わらないとこのような事件は無くならないから、どうしたものだろうか。

上に書いたように、彼らに対しては嫌悪感や怒りを覚えるが、そもそも「マインドコントロールをする側の気持ちや、それをするに至るストーリーはどうなっているのか?」というのが、今とても気になる。

あくまで自分の実感だが、どんなに第三者からはおかしいと感じることでも、マインドコントロールする側は、「本当にこれは相手や世の中のためになるんだ」と思い込んでやっていて、そのための理論武装もバッチリ固めており、言うことの中に適度に本質的なことも含まれていたりするから、いくら周りが「詐欺だ」「犯罪者だ」と訴えかけても、本人が変わることはなかなかないだろう。親から子への虐待なんかもそういうケースが多いと思う。

ホームオブハートの代表MASAYA氏は、史上最年少(当時)で東証一部上場企業の役員になったカリスマ。一部マスコミなどは、彼のことを「金目当ての詐欺師」というが、彼ほどの人物なら、訴訟リスクのある怪しい自己啓発事業でなくても金を稼ぐことはできたのではと思う。

そうすると、やはり金とは関係ないところに、彼なりのストーリーと理由があって、やっていることなのだろうし、結果的に被害者が多数生まれていることも、彼の中では正当化されていると思う。

怪しい団体に騙された人が目が覚めたという話はこうやって本になったりするが、騙した側が反省して書いた本というのは聞いたことがない。

騙す側も彼らの正義のためにやっていて、かつ力を持っていれば、話し合いや交渉ではなかなか決着がつかず、裁判で法的に制裁するとか、究極的には暴力などのちからわざでの解決に発展してしまう。

理想論かもしれないが、ちからわざではない方法で、加害者も納得する形で、無くす方法はないだろうか。

正直、まったく思いつかないが、そういう先行研究はないだろうか? 

(ややずれるかもしれないが、そういう意味では与沢翼さんの存在は事例として貴重だと思う)

上に書いたように、ホームオブハートのようなやり方に、自分としては強い嫌悪感や怒りを感じるし、被害者の予防・ケアはもっと充実するべきと思うが、加害者に対しては、怒りを持って正義の立場から悪を叩くのではなく、正義と正義のぶつかり合いと捉えて何ができるかも考えたい。

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(3)最後に。

ここまで文章を書きながら色々な立場の視点を想像してみたら、そもそも、完全な自由意志というものはないのだと思い至った。自分も常に周囲の環境に影響を受けながら生活していて、その中で「自分の意思で判断している」と思い込んでいるだけ。ある意味、誰もが大小様々なマインドコントロールの中で生きている。私も思い込みが強い方なので、その点を自覚して、もっと柔軟になりたい。

原発安全神話なんてのも、ある種のマインドコントロールだ。それに対して私も含め、多くの人が無自覚だった。(ただ、ここでもやはり原発推進者を悪とするのではなく、正義と正義の衝突が起こっていると考えたいが)

震災があって世の中の流れが変わったように、時代と共に価値観も変わる。1つの考えに固執せずに柔軟になること、それができる社会の仕組みを創ることが、これからますます重要になるし、そういう仕事をしていきたい。「チャイルドライン」でやっていることも、「ふくしま人図鑑」でやっていることも、どれもそこに繋がっている。

最後に、12年の長きに渡る苦しみを、これ以上の被害を出さないためにと、誠実に文章に綴ってくれたToshIさんに感謝し、今後のさらなる活躍を祈ります。

Liveは東京ドーム3day15万枚が1秒でソールドアウトするほどの相変わらずの人気みたいですが、Liveも行きたいです。

洗脳 地獄の12年からの生還 / Toshl

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