- 2012年2月11日 12:05 AM
- 紹介したいヒト、モノ、コト
久々のブログ更新。
ちょうど半年前の記事で紹介した「国分寺大人倶楽部」の
活動休止前最終公演「ハローワーク」を見てきました。
主宰の河西が、過去の公演の中で最も思い入れのある作品の再演とのことです。
国分寺大人倶楽部 第9回公演 『ハローワーク』
脚本•演出 河西裕介
日時 2012.2.8(Wed)-2.19(Sun)
会場 中野テアトルBONBON【ストーリー】
舞台は工場。
延々と続く流れ作業。2人の社員と、7人のバイト。
無断欠勤の多い27歳♂。
男手一つで子供を育てる43歳♂。
夢をあきらめた29歳♂。
夢と現実に揺れる25歳♂。
その彼女24歳♀。
童貞フリーター35歳♂。
人生なめてる21歳♂。
人生なめてる20歳♀。
その姉22歳♀。
それぞれの、一夜。それぞれの、人生。それぞれの、ワーク。
ハロー、ワーク☆
国分寺大人倶楽部は、この3年近く、欠かさず見続けてきましたが、今回を持って活動休止。
これが最後の機会になるかもしれないので、
「見に行こうか迷っている」人の参考になればと思い、
自分にとっての国分寺大人倶楽部とはどんな劇団なのかを考えてみました。
※普段から小劇場で観劇をする習慣はないので、
他劇団との比較ではなく、個人的な絶対評価として書きます。
———
国分寺大人倶楽部の公演を観た後は、いつも心にズシリと重さを感じます。
心が、どこかから伸びてくる無数の蔦(ツタ)に絡まって、動けないような感覚。
今回もそうでした。特にラストの展開がかなり重くて、
観劇後しばらく、心がその場所からどこにも行けなくなってしまいました。
ただ、自分はこの、ズッシリと重い感覚を求めて、
ここ何年か国分寺大人倶楽部の劇を見に来ていたように思います。
普段の自分が、自分の心とどう付き合っているかというと、
とにかくあっちへ行ったりこっちへ行ったりと、落ち着きがありません。
自分でも、今の自分の心がどこにあるのか分からない感じ。
そして、疲れてきたり、ダメージが溜まってくると、
トカゲのしっぽ切りのように、都合の悪い部分、面倒な部分は、
本体からちょん切って、なかったことにし、
「悪い部分は取り除き、問題解決した!」と思い込んでいます。
ちょっと抽象的だから具体例をあげると、
「仲間から孤立した時の寂しい心」とか
「遠い国で、理不尽な理由で命を落とす子供たちを悼む心」とか、
「目標達成した時の嬉しい心」とか。
3つ目のはポジティブな感情だから、
ちょっと意外かもしれないけど、例えば、
目標の未達が続いて指導者から叱責を受けたりして、
目標に向かうこと自体が嫌になった時、
そもそも「達成したら嬉しい」と感じること心を、
自分の中から無かったことにしてしまう。
なんてことも、あると思います。
そうやって、都合が悪くて本体から切り離した心って
トカゲのしっぽとは違って、きっと、
切り取られたままで生きているんですよね。
切れば切るほど、心はどんどんバラバラになって、
感受性は弱り、色んなことに鈍感になっていく。
文字通り、心に余裕がなくなり、他人の気持ちも分からなくなってくる。
だからこそ、自分の心にはできれば敏感でいたいし、
切り取ったものは機会を見つけた取り戻したいし、
心が疲れたりダメージを負っても、なかったことにしないで、
そのまま引き受けるようになりたいと思っています。
※この「トカゲのしっぽ切り」論はさっきふと思いついたのですが、
深堀りできそうだから、また別の機会に書いてみたいです。
—–
少しそれましたが、劇の話に戻ると
「国分寺大人倶楽部」の舞台を見るという行為は、
自分にとっては、切り離してバラバラになってしまった
心の破片を、見つけていくという意味がありました。
劇を観ている時、どこかから伸びてきて、心にからまってきた
蔦(ツタ)というのは、きっと、過去に自分が切り離してしまった
心の破片から芽を出し、ニョキニョキと伸びてきたものなんです。
切り離して放置している心の破片は、今の自分にとっては重くて厄介者だから、
なるべく見ないよう、起こさないようにしているのですが、
舞台にいる役者の演技、リアルな表現によって、
それらは目を覚ませられ、「おい! 俺たちはまだここにいるぞ!」
と主張し、蔦(ツタ)を伸ばしてくるんです。
国分寺大人倶楽部の舞台では、
だいたいどの作品でも人が死にます。
恋愛シーンも多いですが、両思いでうまくいくカップルはまれで、
片思いでうまくいかなかったり、死別してしまったり、悲劇も多いです。
多くの登場人物が心にダメージを受けていて、
その心の動きや、喪失の表現が秀逸です。
実際に見に行ってみないと説明が難しいのですが、
悲劇だけど、あざとくない。笑いもある。
フィクションだけど、中身は等身大のリアル。
描かれているのはあくまでも
登場人物それぞれの物語であって、
観客に「ここで共感してくれ」とか「ここ分かるよね」と
強制してくるように感じさせないのです。
素直に、それぞれの人物が
それぞれのリアルな姿を見せているからこそ、
観客の心も素直に呼応しやすいのだと思います。
(好き嫌い、相性は当然あると思いますが)
活動休止前最後の公演ということで、
ひとりでも多くの人に見てもらえればと思い、
久々にブログ書いてみました。
やや目を背けたくなるハードなシーンもありますが、
ちょっと心に重みを感じても良いかなという方はぜひ。
毎回流れる”Blanky Jet City”
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- 心に絡まる蔦(ツタ)はどこから? 「国分寺大人倶楽部:ハローワーク」 - 小笠原隼人の日記 より